コラム

平成のこけし祭り

平成に入り、創始からおよそ半世紀が経った頃、
「こけし祭り」は次の若い世代が活躍し始めました。

その世代が、桜井こけし店の5代目の櫻井昭寛さんたちの、
今でも鳴子こけしや、「こけし祭り」を盛り上げてきた世代にあたります。

今回は、当時どのような新しい企画があったのか、
櫻井昭寛さんのお話を交えて、振り返りたいと思います。

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※写真:全国こけし祭り第四十回開催記念誌より引用
【絵付けコーナーで観光客に描彩を教える様子。平成3年(第37回)。】

平成の「こけし祭り」では、
若手工人が指導する「絵付けコーナー」や「コマづくり体験」、
壊れたおもちゃを供養する「玩DON祭り」など
工夫を凝らした企画が取り入れられました。

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※写真:全国こけし祭り第四十回開催記念誌より引用
【来場した子供たちのための、コマ回しに興じたプレイエリア。平成4年(第38回)。】

また、木地師の神様惟喬親王を復活させました。
牛を借りるのに苦労したり、借りてくれば暴れたり、とハプニングが続出だったようです。当時の様子を、こけし工人・櫻井昭寛さんはこのように話します。

若い工人が祭りにかかわるようになった時、ぜひともハリボテこけしと惟喬親王だけは続けたいと思いました。「こけし祭り」の原点ですから。すぐに復活させて当時のように杉の台車に乗せましたが、探してきた牛があばれてパレードできなかったり、牛が見つからなかったり、成功したのは一回だけ。でもそれでも結構話題なったんですよ。(こけし工人・櫻井昭寛さんのお話より)

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※写真:全国こけし祭り第四十回開催記念誌より引用
【久しぶりに復活した惟喬親王の様子。平成2年(第36回)。】

自分の一つ前の世代が、
どのようなことを思って、「こけし祭り」を作り上げ、
その原点を探りながら、何をどのように残していくのか、
模索しながらも新たな要素を入れているように感じます。

( 文: 児玉紗也加 )