コラム

「こけし祭り」とこれから

今回は前回に引き続き、
平成の「こけし祭り」で活躍し始めた若手工人たちの中心的存在であった、
櫻井昭寛さんと高橋武俊さんのお話から、
次の世代へと引き継がれた「こけし祭り」への想いや
これからの「こけし祭り」のことを書いていきたいと思います。

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※写真:全国こけし祭り第四十回開催記念誌より引用
【祭りの仕込みに苦労する工人さんたち。平成3年(第37回)。】

「こけし祭り」を始めたとき、そこには「まちおこし」の目的があったんだと思います。鳴子でこれだけ続けられ、しかも成功してきた行事はないかもしれません。原点は忘れずにいながら、ここに新しさを加えていくのが私たちの役目だと思っています。(こけし工人・櫻井昭寛さんのお話より)

「こけし祭り」は長く続き、成長しましたが、これからの方向性を考えると、こうした状況の変化を踏まえることが大事だと思っています。こけしの存在意義をどんな風に打ち出すのか-。これからはそれがひとりひとりに課せられている課題です。(こけし工人・高橋武俊さんのお話より)
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先代たちが作り上げた「こけし祭り」。
こけしの存在意義とは、こけし祭りとは、原点を明確にしつつ、
その時代にあった要素を入れ、発展させていくという姿勢が、

どこかお二人のこけし作りへの姿勢と似ているような気がして、
伝統を守るということについて、深く考えさせられます。

そして、そんなこけし工人さんたちの想いによって、
今でもこけし祭りは鳴子で続けられています。

今回取り上げた「全国こけし祭り第四十回開催記念誌」では、
町の人たちや工人さんが紡いだ言葉によって、
一人ひとりの「こけし祭り」への想いがすごく伝わってきて、
私自身、読むたびに胸が熱くなりました。

この想いを今後も絶やさないように、
そして多くの方に知って頂けるように、
今後も鳴子から発信していこうと思います。

( 文・児玉紗也加 )