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なめらかできめ細い肌ざわり。木地のお餅で新年をお迎え。

木肌が白く、こけし作りに使われ、だんごの木とも呼ばれるミズキ。
こけし作りの技術を用いて、ろくろで挽いたふっくらとした形のお餅に、
木目が美しい桜やエンジュで作った台座を設えた、木地のコントラストが美しい「かがみもち」です。
こけしや季節飾りを作る桜井こけし店のこけし工人が丁寧に作った「かがみもち」には、
木地師の街、鳴子温泉に伝わるものづくりの伝統と技術が詰まっています。

年神様が宿る場所

新年に良縁を授けにやってくると信じられている年神様。お正月の行事はその年神様をお迎えして、おもてなしし、お見送りするためのもの。鏡餅は、その年神様が松の内の間に宿る場所とされています。

木地師の街で生まれた鏡餅

こけしだけでなく、漆器の産地でもある鳴子温泉は、ろくろを挽いて、器や季節飾りをつくる木地師の街です。桜井こけし店では、鳴子温泉のこけし製作の技術と文化を、四季折々の日本の暮らしの中に取りいれてもらえるように、こけしだけでなく、季節飾りも製作しています。一年の始まりを告げる季節飾りの鏡餅。新年を鳴子温泉で作られた季節飾りと共に迎えていただきたいとの想いから生まれました。

「かがみもち」づくりは1年前から始まっています。

木地師の仕事は、ろくろを挽いて形を作るだけではありません。毎秋、空気が冷たく澄みだし、雪が降る前の工房に、東北地方の山々から木材が届きます。一皮一皮手作業で皮を剥いだ木材を井桁に組み、雪に埋まっては掘り起こしてを繰り返しながら春を待ちます。冬の雪かきも「かがみもち」ができるまでの大事な仕事のひとつです。春がきたら急激な気温の変化で木材が割れないように、個別に状態を見極め、乾燥が進んだものから工房内へ移動します。梅雨が近づくと、雨と湿気から守るために、井桁をばらし木材を工房内に移し、屋内でさらに乾燥させ、夏から秋にかけて作るものの大きさに合わせて製材します。「かがみもち」をろくろで挽くまでに、木地の乾燥・製材で、約1年を要しています。

昭二から孫の尚道へ受け継がれた鏡餅

この鏡餅は桜井こけし店六代目の櫻井尚道が生み出したものです。そのきっかけとなったのは、祖父である四代目の櫻井昭二が自分のために鏡餅を作ってくれた想い出から。その記憶をもとに形を考え、自身の感性でオリジナルの台座を作り、お餅を乗せました。昭二の兄妹が、尚道作の鏡餅を見て、昭二の鏡餅と似ていると言ったことがありました。昭二が作っていた鏡餅。そのものが残っていて見本にしているわけではないのに不思議と佇まいが似てくるというのは、やはり受け継がれた血のようなものがあるのでしょうか。世代を超えて、受け継がれ、完成した桜井こけし店のかがみもちです。

一体型で作る鳴子温泉の伝統技術

この鏡餅にはひとつ、特徴があります。それは上下のお餅が一体となっていることです。全国でも木製の鏡餅が作られていますが、上下のお餅が分かれていることが多いです。桜井こけし店の鏡餅は、この形を生み出す際に形を追求した結果、自然と一体型で挽いていたのですが、それは鳴子温泉という地で生まれたからなのかもしれません。鳴子温泉の木地師は横挽きのろくろを使う伝統があります。縦挽きのろくろでは少し作りづらいふたつのお餅の重なる部分が横挽きろくろだからこそ生み出され、このような一体型のお餅となりました。この滑らかでふっくらとした、美味しそうなフォルムは、一体型ならではのデザインです。

上品で飾りすぎない佇まい

木目や木地の風合いを活かしたナチュラルなデザインなので、和室・洋室を問わず、どんな場所でも馴染む飾りやすさが特徴です。大きさも4種類あるので、玄関やリビングでのシックな装いから、デスク周りのアクセントなど様々なシーンに合わせてお選びください。

年を重ねるごとに深まる艶と色合い

天然木ならではの年月の経過も楽しみいただけます。毎年、一年の終わりに箱から取り出して飾るのが楽しみになるように、長く大切にお使いいただけるように、新しい挽きたての鏡餅をお届けしております。

手作業で製作しておりますので、製作数に限りがございます。
2023年の鏡餅の受注販売は、10月下旬頃から開始いたします。