コラム

鳴子を訪れた人、愛した人

前回の画家の谷内さんに続き、
こけしに惹かれ、鳴子を愛してくり返し訪れた人たちを紹介したいと思います。

交流はこけし研究家にとどまらなかった。
こけしに惹かれ、鳴子を愛して繰り返し訪れた人の中には、
画家や作家、陶芸家、染色家、デザイナーも多い。
(全国こけし祭り第四十回開催記念誌より)

愛好家や研究家の他に、文化人と呼ばれる人たちをも惹きつける、
当時の鳴子温泉やこけしの魅力がどれほどのものだったのかが分かります。

また、谷内さんと同様に、
工人さんとの交流の中で、自身の絵や色紙を贈ることも多かったようです。

「こけし祭り」には、作家の日野葦平、岡部伊都子らもやってきた。
高橋正夫さんの手元には、その色紙も残っている。
(全国こけし祭り第四十回開催記念誌より)

染色家の芹沢銈介は、何度も湯治に訪れ高橋武男さんとの付き合いの中で、
「老舗高亀」の看板を贈った。 (全国こけし祭り第四十回開催記念誌より)

今でもそうした文化人たちとの交流の思い出の品々が
町内のさまざまな場所にひっそりと残されているので、
町歩きをしながらそれらを辿るのも面白いかもしれませんね。

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※写真:全国こけし祭り第四十回開催記念誌より引用
【高亀店内に飾られている、芹沢銈介さんによる看板。】

そのほか陶芸作家の河合寛次郎さんや、工業デザイナーの柳宗理さんなど、
民芸運動の第一線で活躍した人々がつぎつぎとやってきた。
こけしに美しさが感じる故に、こけしを育む風土を実感し、
こけしを作る人々に出会い、話をしようと鳴子を訪れたのだろう。
(全国こけし祭り第四十回開催記念誌より)
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私自身、初めて鳴子を訪れた時、
自然と共にあるこの風土や、町をふらっと歩くと出会うこけし屋さん、
聞こえてくる木地挽きの音、工人さんとの距離の近さに、
すごく魅力を感じたことを思い出しました。

鳴子やこけし、鳴子の人々の魅力が、
私たちを繰り返し、鳴子に向かわせるのでしょう。

今でも鳴子の町に流れる特有の雰囲気は、
こうした出会いと交流が育んだものなのかも知れないと感じました。

( 文:児玉紗也加 )